双方の骨格ができる

互先局は,黒が 6.5 目のコミを出さなければなりません。そのため,黒は積極的に動くことが多いです。一方,白はその動きにゆっくりついて行くように心がけます。
黒も白も2間飛びの出だしに,黒 ⑤ と白につけてきました。白は単純に受けています。黒 ⑨ の切りに対して,白 ⑩ の伸びが良い手でした。黒 ⑤,⑦ の取りを見られていますので,黒 ⑪ はやむを得ません。


白 ⑩ によって,白が主導権を握りました。まだ数手しか進んでいませんが,この後は,黒の打ち方によって白の応手は変わりますが,白の半目以上の勝ちは変わらないという白の必勝形となりました。

黒も粘りの手を見せる

白が ⑫ と伸びたとき,黒は ⑬ (② の上)と切りを入れました。しかし,白 ⑭ と当てられると,黒は ⑨,⑬ のどちらかが取られます。黒が ⑨ の方を押したので,白 ⑯ と取りました。
これで,黒 ③ の1子が取り残されそうになったので,黒は ⑰ と粘りの手を見せました。


しかし,この碁は,どこまで行っても,白にうまくできています。白 ⑱ が急所で,黒 ⑤,⑦ のウッテガエシの取りを見られていますので,黒 ⑲ はやむを得ません。そこで,白 ⑳ 以下のように,下辺へ出られてしまいました。


コウ材の多少が勝敗を決める

頭書に述べたように,黒は 6.5 目のコミを出さなければなりません。この碁は,コミを考慮に入れて,半目を争う勝負になっています。それは,最後のコウをどちらがつなぐかの争いということになります。
この後の展開からわかるように,黒には多くのコウ材として使われる場所があるのに対して,白には数個あるだけです。


黒には,前に述べた黒 ⑤,⑦ のウッテガエシの取りという大きなコウ材が残っています。しかし,先にこれをツグと,右辺と下辺でコウになったとき,上図の黒(41)の地点を打たれて,半目負けになりそうです。そこで,黒は先に黒(41)につなぎました。

最後はセキの形で白の完勝

白は,上述のウッテガエシの取りという大きなコウ材の代わりに,左辺への伸び(50)を打ちました。その結果,下図のように,右下をセキの形にしました。Leela は,セキの形を読み切れなかったようで,持ち込みと判断していたのかも知れません。
Leela の対応によって,最後はセキの形で白の完勝となり,思い出深い一局になりました。